出会いというのは、追い求めた末に訪れることもあるでしょう。また偶然ということも多いですよね。
写真のおしゃぶりはスイス・ネフ社のリングリィ・リングといいます。私が長男(1982年生まれ)に買ってあげた最初のおもちゃ。これはわざわざ東京まで行って、ニキティキ千駄ヶ谷店で購入しました。
長男におもちゃを買ってあげたいと福岡のデパートやおもちゃ屋さんを見ても、これはと思うものが全然見つからず何も買わずにいたのです。出産祝いで頂き物はいくつもありましたが。
そんな時ある本と出会いました。平凡社の世界玩具大図鑑といいます。
この本、大図鑑ですからさまざまなもの、玉石混合とは言い過ぎでしょうか、おもちゃ屋さんで売っているものが網羅されていましたが、中ほどにヨーロッパの木のおもちゃの特集があり、そこに私は惹き付けられました。当時、木のおもちゃが売ってなかったわけではありません。積み木、カタカタ押し車、輪投げ、コマなど昔からありますよね。ヨーロッパ製に目をつけた編集者は先見の明があります。感謝してます。この本と出会わなかったら、おそらく今の仕事はしていなかったでしょう。
そのヨーロッパの木のおもちゃ特集に10数点紹介されていましたが、それぞれの商品名に取り扱い業者が書いてありました。気に入ったデザインのものを見ると、その全てが(ニキティキ扱い)となっていました。今でも販売されているものはベビーボールくらいですね。当時2,400円と書いてあります。今7,000円(税抜)。
1982年のことですからインターネットは普及していません。行くしかありません、例え東京でも。(昔も今も東京は遠いです)
巻末の全国のおもちゃ屋データでニキティキの所在地を知ったんだろうと思って、見返してみましたが、はて、掲載されていません。どこから探し出したのかさっぱり思い出せません。本社のある吉祥寺ではなく千駄ヶ谷に行ったのだから、偏った調べ方をしたんでしょうね。
ニキティキのことを詳しく書いた「玩具とデザイン」によると千駄ヶ谷店は(以下抜粋)
「柳宗理からの要請を受け、千駄ヶ谷の将棋会館近くにあった柳ショップの奥に出店・・・云々」
1977年10月オープンしたようですが、1985年に代官山に移転しました。小さな店で、そして柳ショップとの調和もあったのかもしれません。少し大人っぽい品揃えだったように思います。その店を見た時の衝撃が、私をこの世界へ引きずり込みました。
東京に行くだけの旅費をどう工面したんでしょう。欲しいものはたくさんありましたが、その時、長男に必要だと思ったおしゃぶりでとても気に入ったものを1個だけ買いました。それがリングリィ・リングです。あとから考えると、その時すでに9ヶ月くらいだったのであまり使わなかったかもしれません。でも次男(圭悟)はよく使ったと思います。
あとで分かるのですが、福岡にもニキティキのおもちゃが買える店はありました。ただしおもちゃ屋ではないんですね。中洲にあった子供服の店、インテリアのニック(記憶あいまい)、あまねや工芸店(今でも健在)など。そういう店がセレクトしておもちゃ屋は選ばなかったおもちゃたちは当時おもちゃではなかったんでしょうね。
さて、1976年生まれのリングリィ・リングはネフ社の創業者クルト・ネフ氏のデザインです。リング直径8cm、太さ直径約10.1mm。赤ちゃんがむにゅっと掴める細さです。これより細いものは今まで販売したことはありません。
ところがヨーロッパの安全基準が厳しくなったのでしょう、最近大きくなってしまいました。リング直径8.5cm、太さ直径約12.2mmです。2mmほど太くなっています。でも、シンプルで美しいことに変わりありません。
左:旧タイプ 右:新タイプ
つみきやに足を運んでくださった方に、おもちゃとの良い出会いがありますように。
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