6月のおすすめ絵本
今回のおすすめは、福音館書店の世界傑作絵本シリーズから、ハンガリーの絵本です。
ラチは、世界で一番弱虫でした。
犬を見ると逃げ出し、暗い部屋は怖くて入れません。
そんなラチのもとに、小さな赤い‘らいおん’がやってきます。
ラチは「ちっぽけならいおんじゃ何の役にも立たないよ」と笑いましたが、実はとても強かったのです。
らいおんは言います。「君を強くしてやるよ」
小さならいおんが側にいてくれることで、ラチはどんどん強くなっていきました。
ある日友達のところへ出かけてみると、のっぽの男の子にボールを取られて、皆しょんぼりしていました。
「君がきても何もならないよ」と言われますが、ラチは平気です。
のっぽを夢中で追いかけ、とうとうボールを取り返します。
ラチは、お礼を言おうとポケットに手を入れますが、そこにらいおんはいませんでした。
ラチが走ってうちに帰ってみると、らいおんからの手紙が残されていました。
らいおんの手紙には、何のためにラチのところへやってきたのかが書かれてあります。
ラチは、らいおんと一緒にいる時間を通して自信を取り戻していきました。
らいおんが、初めてラチと会った時、大笑いされても気にしなかったように、ラチが、困っていた友達から期待されず、弱虫だと言われても「ぼくは弱虫じゃないよ」と言える程に成長しています。
らいおんがついていなくてもラチは強かったし、「誰も弱虫な子なんて、本当はいないんだよ」と、らいおんは教えているようです。
「ラチとらいおん」
マレーク・ベロニカ 文・絵
とくながやすもと 訳
福音館書店 1,100円+税 4才〜