創業者でオーナーの原田隆が「思い出のおもちゃたち」というテーマで不定期のコラムを書きます。(前回記事 vol.2 汽車 レールをつなげて遊ぶ汽車はこちら)
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赤ちゃんが「掴む・くわえる・振る・投げる」といった行動をするためのおもちゃは、今も昔もたくさんのメーカーがさまざまなデザインで作っています。安全基準は時代とともに変わるため、同じように見える玩具でも細かい仕様は変化しています。
●がらがら、おしゃぶり
たとえば、ヒューゴ・キューケルハウスがデザインしたおしゃぶりは、1980年代のカタログ1号では複数の種類が掲載されていました。我が家にあるものには、円盤の中央に球がはまっていて、くるくると回転する仕組みのものもあります。
NIKITIKI カタログ No.01 | ニキティキ デジタルカタログ
しかし、1994年発行のカタログ5号では6種類のみに減少。中でも「かお」と「さかな(細身)」が掲載されていますが、1996年6号になると「かお」は姿を消し、「さかな」は太くなっています。安全基準を満たさなくなったのだと思われます。
NIKITIKI カタログ No.06 | ニキティキ デジタルカタログ
長年製造してきたマイスターギルデはやがて工房を閉じ、このシリーズは2002年以降、別の工房が引き継ぎましたが、2006年のカタログ10号で完全に姿を消しました。私にとっても息子たちにとっても、大切な思い出のおしゃぶりです。
また、ドイツのシャーフというメーカーも、今ではなくなってしまいました。シャーフの「コロリング」は、シンプルながらとても気に入っていたおしゃぶりです。似たようなデザインは他にもありそうで、なかなか見かけません。ネフの「リングリィ・リング」と「ドリオ」を足して2で割ったような雰囲気です。
それと、ヴァルター社の「ベビーロール」はガラガラのような構造で、中に鈴ではなく木玉が入っています。円柱の上下が円盤ではなくリング状になっていて、支柱も細く、非常に繊細なデザインです。
●引っぱり玩具
おしゃぶりではありませんが、赤ちゃんが喜ぶ「引っぱり玩具」もいくつか印象深いものがあります。
たとえば、ヴァルターの「コロコロ・ナチュラル」。ムカデのような形状で、球状の車輪が3種の木材(おそらくウォルナット、チェリー、メイプル)から作られています。そのつなぎ目の縞が車軸と斜めについているため、動かすと模様が変わるのが魅力。非常に上品な白木の玩具で、残念ながら現在は姿を消しています。
もうひとつは、シャーフの「ローリーロイス」。こちらは全くの白木で、円柱の車輪が斜めにカットされており、回転すると模様が変化します。絵を描いたり、色を塗ったりすることもできます。生産中止品ですが、つみきやでは在庫がある限り販売を続けています。