
3月のおすすめ絵本
一人の女の子、エイダの一生を描いた伝記絵本です。
エイダは、幼いうちから、夢見がちな父親のようにならないようにと母親から数を教わり、”普通の英国レディ”になるよう教育されていました。
しかしエイダは、自分のやりたいこと、好きなことを心の中で想像し膨らませていたので、抑圧に動じることはありませんでした。
むしろ、教育として与えられた新しい世界を嬉々として受け入れ、自分の中に取り入れていきました。
エイダは、その確かな知識と豊かな想像力をもって世界で最初のコンピュータのプログラムを作り出したのです。
エイダが携わったことが、難しそうなコンピュータのプログラムのことだっただけで、彼女は、大人になっても純粋な心で物事を想像し、可能性を見出していました。
自然にいろいろな想像が湧いてきて、アイデアが起こるのは、ひとえに自分の好きなことをしているからに他ならないと思います。
またこの絵本は、パーツを立体的に組み立て、撮影された作品です。
文章に合わせてつけられた表現がとても面白く、よく伝わります。
例えば、父親のまわりに薔薇をあしらい、母親の背景には定規やコンパス。
幼いエイダのまわりには、蝶のようにひらひら舞っている数字たち。
それは、彼女が数字をも遊びとして親しんでいたであろうことを思わせます。
子どもだけでなく、ぜひ大人の方にもお薦めしたい一冊です。
※お茶目なエイダが、猫のパッフとともに、パンチカードの後ろに隠れているのもお見逃しなく。
「世界でさいしょのプログラマー」
エイダ・ラブレスのものがたり
フィオナ・ロビンソン 作
せな あいこ 訳
評論社 1,500円+税 小学校中学年〜
