11月のおすすめ絵本
クマのプーさんといえば、原作はA.A.ミルン作の「クマのプーさん」です。
実の息子クリストファー・ロビンが、日頃階段を昇り降りしている様子を見て何か思うところがあったのでしょう。
著者は、始まりにその場面を用いました。
プーさんが、いつも階段に頭を打ちつけられながら一緒に降りてくるのを、プーさん目線で語っています。
そのつぶやきが、プーさんの穏やかで呑気な性格すべてを表しています。
主人公クリストファー・ロビンは、ありのままの素直な心でいるプーさんや仲間たちを、温かく見守っています。
一生懸命おっちょこちょいなことをしているプーさんを見て、かわいいなぁ!と言うように「ばっかなクマのやつ!」と親しみ込めて言っています。
本人たちはいたって真面目なのですが、実は何でもないことをしていて、はたから見ている私たち(読者)には、とても面白く映ります。
受け答えもそう。例えば今風?だと「ちょっとふっと一息いれない?」「私はほっと一息がいいなぁ」みたいな会話が随所に見られるわけです。
プーさんの物語(原作の文章)は、遠回しな言い方で心の声をそのまま口にしたり、自分を励ましたり、言い訳して納得したり、登場人物それぞれが、マイペースで自分に正直に生きています。
(これを読みながら感じ、想像しながら楽しめるのは、)小学高学年以上、と本では推奨されています。
ですが読んであげるのなら、小学低学年の子どもたちにも十分楽しめることでしょう。(大人も一緒に)
「クマのプーさん プー横丁にたった家」
A.A.ミルン作
石井桃子訳
岩波書店 2,100円+税 小学5・6年以上
一方その出来事のわかりやすい内容(あらすじ)を、より小さい子供達にも楽しんでもらおうと、ディズニーからアニメが出ています。
しかし、映像から入ってしまうと先入観により、子供達の文章を理解する力を奪い、原作のもつ雰囲気や表現力の面白さを知るには弊害になるかも知れません。
つみきやでは、次のような冊子もございます。
フランシス・クラーク・セイヤーズさんが、児童文学の問題に関連して、ウォルト・ディズニー氏の責任を問うています。
「ウォルト・ディズニーの功罪」
F.C.セイヤーズ著
C.M.ワイゼンバーグ聞き手
山本まつよ訳
子ども文庫の会 210円+税
季刊誌「子どもと本」第155号(最新号)では、巻頭記事に、「可能性の余地」から第二部「司書」を訳出されてあります。
司書にとどまらず、子どもと関わる全ての人へ、優れた本の可能性と子どもの世界を広げるきっかけの橋渡しをする大切さ、責任を伝えています。
「子どもと本」2018年10月 第155号
子ども文庫の会 590円+税
参考にいかがでしょうか。お薦めです。