こちら現在、国内では汽車(蒸気機関車)は特別なものです。ある特定の地域の観光用か特別のイベントで走るくらいです。子どもは映像で見るか、わざわざ運行しているところに行くしか走っている実物を見ることができません。だからでしょうか、木のおもちゃや絵本の世界では汽車は憧れの存在のようです。プラレールやレールを繋げて遊ぶ鉄道おもちゃには新幹線や電車もたくさんありますが、レールを使わない単独の大きな列車は汽車のものが目立ちます。
大きいものほど存在感がありますが、子どもが遊べないような大きさでは意味が無いわけです。これが限度でしょうか。「A 色付 汽車(大)」は135cmもあります。4両なので1両30cmちょっとですが、デザインも色もいいですね。このスイスのアルビスブランの塗装は塗膜が薄いので木の温かみが感じられて私は一番好きです。ニキティキカタログ1号(1986年1月発行)の9ページです。
NIKITIKI カタログ No.01 | ニキティキ デジタルカタログ
(以下カタログに関する表記、発行年や号数のみはニキティキカタログです)
2年後に発行された2号には掲載されていないので、その間に生産中止に追い込まれたのでしょう。ニキティキカタログは商品販売の手段ではなく製品の写真集的意味合いで発行しているので、残念ですが、価格表が別冊になっています。ですからこのアーカイブでは当時の価格を知ることができませんが、アルビスブランの汽車(大)は相当高額でした。
大きさでは「フィンランドの汽車」も負けていません。全長は97cmですが、機関車だけ
はアルビスブランよりも長いです。メーカーはフィンランドのユシラ。私は実際に見たわけ
ではありませんが、近くの幼稚園ではこれの貨車や客車に乗った子どもが築山から転がり
降りていた、という話を聞きました。丈夫でした。乗用ではありませんけど。
1994年に開店した時、店の前のベンチの上に当時扱いだした自然塗料のオスモをフィンランドの汽車に塗って塗料の耐久テストをした記憶があります。これは何も塗っていない白樺の白木で美しいものでした。
近年、白樺の材料が高騰したようでユシラのおもちゃはドイツのものと同じように高くなりましたが、数年前までユシラのものはヨーロッパ製としてはとても安いものでした。この「フィンランドの汽車」も大きい割に安く出産祝いなどでかなり販売しました。デザインもいいです。貨車、客車の屋根が乗せてあるだけなので、外して積木や人形なども簡単に乗せられます。2006年8月発行10号にこの色付きが登場します。
NIKITIKI カタログ No.10 | ニキティキ デジタルカタログ
※白木、色付きともに2014年7月発行12号には掲載されていません。
先にご紹介したアルビスブランには「A 色付き汽車(小)」もありました。かわいい、きれいな汽車です。2003年11月発行9号まで掲載されています。今はありません。
アルビスブランとユシラの大型の格好いい汽車が姿を消しました。
同時期に登場するのがドイツ、ジーナの汽車です。1996年11月発行6号に「SINA汽車(大)と(小)」が掲載されています。
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(大)は5両編成124cm。しかしながら棒に積木を差し込む形態の遊びが3両あり、いろいろなものを乗せられる自由度がありません。(小)は同じような形態ですが、価格がリーズナブルでこれは出産祝いなどでたくさん販売しました。(大)(小)とも2010年7月発行11号には掲載されていません。(小)が生産中止になった時にはとても残念でした。
汽車には見えないかもしれませんが、子どもの想像で列車あそびができるユシラの「ファーストトレイン」、彫刻家VITALI氏の「トンネルと汽車」もとても素敵なおもちゃです。
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変わり種では1994年10月発行5号に1度だけ掲載されたケラーの「トレノトレイン」。
ドイツ、ケラー社は車と木馬で有名です。今はブランド名のみ残り他社が受け継いで生産しています。「トレノトレイン」はケラーでは珍しい列車です。汽車ではありません。木馬ペーターのデザイナーが考案したものとカタログにあります。モダンで格好いいです。
NIKITIKI カタログ No.05 | ニキティキ デジタルカタログ
以上、全て姿を消しました。
つみきやが2013年11月に商業施設の6階に移転オープンした時には「フィンランドの汽車」は生産中止で販売できませんでした。その少し前から取り扱いを始めたのがドイツ、ベックの「BE機関車」です。
2024年号_グッドトイ19号 | ebook5 ※26ページ
これは輸入元はブラザージョルダン社です。
これは現在も生産中で、唯一残る私が好きな汽車です。