こんにちは。スタッフの津村です。
私はこれまでボードゲームの体験会を数多く進行してきましたが、ゲームで負けた時、悔しがって泣いたり、すねたり、乱暴になったり、あるいはゲームをもうやめてしまう、という子どもをたくさん見てきました。
中にはルールを無視し、自分の都合の良いように変えてまで勝ちにこだわる子もいました。
これはご家庭でもよく見られる光景ではないかと思います。
実際、お客様から「うちの子は勝つまで絶対にやめないから困っている」「勝たせてあげないと泣く」といった声もお聞きします。 ゲームに勝ちたいという気持ちがあるからこそ起こることだと思いますが、そんな時、お子さんに対してどんな対応や声掛けをするのがいいのか、悩ましいところですよね。
そこで、今回は皆さんと一緒に「子どもが負けたとき、どんな態度で接するのが良いのか」を考えていきたいと思います。
●そもそも競争意識にはどんな発達上の役割があるか?
一般的には子どもは4歳前後から競争意識を持つと言われています。
「好き」という気持ちが強まってくる時期を越えると、子どもたちは「競争時代」ともいえる時を迎えます。たとえば、車に一番に乗り込もうとしたり、食事で誰よりも先におかわりをするなどの姿を見せたりします。子どもだけでなく、大人とも競い合い、勝ち負けにこだわります。
引用元:月刊 発達教育 湯汲英史(発達協会)言語聴覚士・小倉尚子(発達協会)言語聴覚士
では、そうやって競争することにどんな発達上の役割があるのでしょうか?
上記に引用した専門家の先生はこのように分析しています。
①ルールの存在に気付き、守ること
順番を守る、サイコロを振って進む、このカードが出たら○○する、など競争には必ずルールがあることを知ります。そこからルールを守ることを覚えていきます。
②競争にあたっての態度を学ぶこと
競争には勝ちと負けがあり、勝者と敗者が生まれることを知る中で、感情をコントロールすることを学びます。結果にこだわりすぎず、競争自体を楽しもうとする姿勢です。 競争における態度について、フランスの社会学者ロジェ・カイヨワ氏はこう定義しています。
遊びは勝とうという意欲を前提としている。しかし、もっと大事なことは礼儀において敵に立ちまさり、原則として敵を信頼し、敵意無しに敵と戦うことである。さらにまた、思いがけない敗北、不運、宿命といったものをあらかじめ覚悟し、怒ったり自棄(やけ)になったりせずに、敗北を甘受することである。 引用元:「遊びと人間」 ロジェ・カイヨワ著
将棋の世界でも礼節は重んじられます。指す前には必ず「お願いします」と一礼して対局しますし、対局後も感想戦をして終わるのがマナーとされています。
③思いやりの気持ちを育てること
敗者に対し、慰めや励ましの言葉を掛けるなど、優しい気持ちが育つようになります。 中でも最も重要なのは「上達したい」という気持ちを育むことだそうです。
競争心の高まりは、ほかの子などとの競い合いを通して、「上手になりたい」「上達したい」という気持ちを子どものなかに確実に育てます。この気持ちが育つことで、苦手なことや、興味のないことについても、仲間といっしょに積極的に取り組めるようになっていきます。
引用元:月刊 発達教育 湯汲英史(発達協会)言語聴覚士・小倉尚子(発達協会)言語聴覚士
●競争の場面で親が取る態度の選択肢
競争心は子どもの発達において非常に重要な働きを持ちます。 では、競争の場面で親が取る態度の選択肢にはどういったものがあるのでしょうか。
例えば、以下のような選択肢が挙げられます。
①勝つことを良しとする 1番になったことを思いっきり褒めてあげるという態度。負けた時には「次は1番になれるよう頑張ろうね」と声を掛ける。
②競争しないことを良しとする そもそも人と争うことを良しとしないという態度。負けた時には「競争なんてしなくて良いんだよ」と声を掛ける。
③競争する姿勢を良しとする 順位にこだわらず、ルールを守れたことやマナー、思いやり、上達を評価するという態度。負けた時には「よく泣かずに頑張れたね。前より速く走れてたよ」と声を掛ける。
●正解はないが、親の価値観が伝わりやすい場面かも
皆さんはどれに近いと思われましたか?
これらはあくまで一例であって、単純にこれだと決められることでもないと思います。例には挙げてない、上記以外の態度もあることでしょう。
様々な選択肢がある中で、どれを選んだとしても「これが正解」というものはありません。なぜなら、人それぞれの価値観によって正解は変わるからです。
ただ、競争の場面で親が取る態度は、子どもにとって親がどんな価値観を持っているのかが伝わりやすい場面であると言えるでしょう。
●おわりに
さて、ここまで「子どもが負けたとき、どんな態度で接するのが良いのか」を考えてきましたが、いかがだったでしょうか?
皆さんにとって、何か有益な機会になったのなら嬉しいです。
私自身、この記事を書くことで、とても勉強になり、考えを深める良い機会となりました。
私は生きていく上で競争はある程度必要であると思いますし、たとえゲームで負けたとしても、その過程でできたことを褒めてあげられる視点を持って、子どもたちには接していきたいなと思います。
文章 津村修二(つみきやスタッフ)
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