3月のおすすめ絵本
昔、フェルジナンドという子牛がいました。
他の子牛たちは元気に遊んでいましたが、フェルジナンドは花の匂いを嗅ぐのが大好きでした。
お母さんは、息子のことを心配します。
一人ぽっちで寂しくないのかと。
そこである時、息子に聞きました。
「他の子と一緒に遊ばないの?」
フェルジナンドは言います。
「僕はこうして一人、花の匂いを嗅いでいる方が好きなんです。」
寂しがってないことがわかったお母さんは、息子の好きなようにしておいてやりました。
時が経ち、フェルジナンドは立派な牛になり、相変わらず花の匂いを嗅いで暮らしていました。
一方、一緒に牧場で育った他の牛たちも大きくなり、彼らはゆくゆくは勇ましい闘牛になることを望んでいました。
さてある日、闘牛にふさわしい牛を見つけに男たちがやってきます。
そして、思いがけないことから、あのフェルジナンドが選ばれてしまったのです。
さあ、果たして闘牛として務まるのでしょうか。
母の愛に裏打ちされた欲のないマイペースなフェルジナンドと、慌ただしい人々の対比が面白い絵本です。
「はなのすきなうし」
マンロー・リーフ 作
ロバート・ローソン 絵
光吉夏弥 訳
岩波書店
800円+税 4才〜