気持ちの良い過ごしやすい季節になりました。川沿いのつみきやには早くも蚊が出て、毎年の長い戦いも始まっています。
先日、九州産業大学美術館で行われているネフ社の玩具を中心とした企画展を見に行きました。
すでに廃盤になっているおもちゃなど、初めて見るものもいくつかあり、大変楽しみました。26日まで開催していますので、福岡にいらっしゃる方にはおすすめです。
第34回九州産業大学美術館所蔵品+展
『遊ぶ』-おもちゃと造形をめぐる8章-
https://www.kyusan-u.ac.jp/ksumuseum/tennji/#tenji1439
ネフ社はスイスの玩具メーカーで、デザインの面でこの業界のトップランナーであることは間違いありません。ネフスピールをはじめ、美しいおもちゃが多くの人を魅了してきました。当店の創業は、私の父がネフのリングリィリングに出会ったことがきっかけですので、父もその1人です。
その美しさを言葉で形容するよりも、ぜひ実物を見ていただきたいのですが、色使いがその特徴の一つだと思います(その色を実現する塗装の技術も素晴らしく、手間もかけられています)。
鮮やかな原色系統の色を使うことが多く、展示されている様子を見ていても、ビビッドな色が目立ちます。
この展示を見ていて、変な話なのですが、実家のトイレの壁に貼り付けてあったネフ社のポスターを思い出しました。鮮やかな色を目立たせるためなのか、背景の色が割とダークな色なのです。
おもちゃそのものにも黒が使われたり、おもちゃの枠が黒だったり、結構ネフはダークな色を使います。現在、世の中にあるもので、子どもに関わるもので、ダークな色が基調となることはあまりありません。
ネフは大人向けという指摘もありますが、ネフがデザインを優先して、子どもの遊びの機能を無視することはありません。子どもが遊ぶことを追求する中で、行き着いているデザインだそうです。
世の中に流通している子ども向けのデザインの多くは、本当に子どもが好きなものではなく、デザインする大人が子ども向けのデザインとして世に出ているものを真似して作っている結果だと私は思っています。
デザイナー自身が子どもでないため、子ども向けとして実績の多いデザインをベースにするのは仕方ないのかもしれません。しかし、「子ども向けの美しさ」と「大人向けの美しさ」という違いはなく、何を美しいと感じるのか個人によって差があったり、その中にもある種の普遍的な美しさがあったりするのではないでしょうか。
大人の自分が美しいと思うものこそ、子どもに物を選ぶ基準の一つにしたいと常々思っていますが、振り返って我が家を見るとただただ、ぐちゃぐちゃに色々なものが散乱しておりました。理想とは程遠い現実がここにあります。