今回の渡欧の最後の訪問先はハウスオブマーブルズ社です。
ハウスオブマーブルズはイギリスのデボンという南西部のエリアにあります。
ロンドンから電車で3時間半ほどのところにあるニュートンアボットという駅が最寄りの駅でした。
途中からは羊の牧場が広がるのどかな風景が続きました。
ハウスオブマーブルズは工房と博物館とレストランを一緒の場所で運営しており、
地元の観光名所になっています。駅から利用したタクシーの運転手さんも
名前を伝えただけですぐ理解してくれました。
迎えてくれたサラさんは南アフリカで生まれ、カナダにもルーツを持ち、イギリスで
主に育ったという何ともワールドワイドなチャーミングな女性でした。
もともと陶器用の土が良く出たため、陶器が一大産業だったこのエリア。
ハウスオブマーブルズは陶器工場だった広大な土地を利用して工房を設立しました。
当時の工場の窯の一部が今も残っています。
ガラス工房はガラスを溶かす窯を維持するために膨大なコストが発生します。
ハウスオブマーブルズの窯はイギリス全土を見渡しても最高水準の窯を保持しているため
遠方からもガラス細工職人が工房を利用するために訪れるそうです。
ビー玉という言葉の持つ庶民的な響きとは別世界のまさにアートマーブルと
呼ぶにふさわしい美しい製品があふれています。
そんなハウスオブマーブルズでは工房を見学できるようになっていて
今回は取引先ということで特別に中に入れて少し体験させていただきました。
おそるおそる、溶けたガラスを持って来て頂くのを待ちます。
そして、運んで来て頂きました。
大まかにサイズを決め、丸く成形します。
最後にバーナーでキレイに丸く形を整えます。
見ているのとやるのではやはり全然違います。
今回は全ての作業を補助して頂きましたが、普段はお一人でされています。
イギリスでも間違いなくトップクラスの技術をお持ちの方々を
素人が真似できるはずもありませんが、とても楽しい時間を過ごさせてもらいました。
それにしても皆さん腕が太い。私の3倍くらいの太さだったような気がします。
結局私のビー玉はいろいろな修正を加えて頂きましたが、
それでもきれいな球になることはなくプロのすごさを改めて実感することになりました。
その後の行程を済ませて頂き、後日郵送して頂いた私の作ったビー玉(左)と本物の商品(右)です。
ハウスオブマーブルズの製品はアメリカのギャラリーでも大変人気があり、
アメリカに支社を持っているほどです。
手作りの業界は縮小傾向にありますが、ハウスオブマーブルズのような
高品質製品を作り続けている企業は世界的に見ても非常に貴重な存在だといえます。
取引先という役得で体験までさせてもらえた今回はとてもありがたい経験となりました。
今後もシンプルかつ美しいデザインをいつまでも生み続けてほしいと思います。
原田圭悟