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コラム【原田圭悟の「子育て、日々余裕なし 」vol.17】2024年3月

コラム【原田圭悟の「子育て、日々余裕なし 」vol.17】2024年3月
すごく暖かくなったり、寒くなったりと、三寒四温とはうまくいったものだなあ、と思う日々です。この時期、どの上着を子どもに着せるか迷いどころです。とはいえ、元来極めてズボラな私、適当に着せているものだから、先日子どもたちの写真を見た妻の妹に、上着が短くなっているよ、と指摘されてしまいました。

もう一つ、ズボラで忘れがちなのが、子どもたちの爪を切ることです。他にも色んな抜けてるところがあるのでしょうが、どうも忘れがちで、娘が保育園で切ってもらった、ということがありました。

「あちゃー、本当は家で切っていかないといけないのに」と反省したのですが、先日も最近通い始めたピアノ教室で先生に切ってもらった、と。

それを聞いた私は、また「あーいかんいかん、ちゃんと切らないと」とカリカリしていました。

それを聞いていた妻は、「うーん、確かに切らないといけないのはそうだけど、中国では『先生、切ってくれてありがとう』で終わる話だなー」と言っていました。

(え、いや、本来やるべきじゃない仕事を先生にさせてしまっている、とか。しつけのできていない家だと思われる、とか。なんか、「迷惑かけてる感」がすごいのに。)

ここはなかなか相容れない価値観の違いがあります。自分のやるべきことをやっていない事をすごく恥ずかしい状態だと感じる僕と、それをちょっと過剰じゃないのと感じる妻。より正確に言うと、妻はそうやってカリカリして、それを子どもに押し付けている私に我慢がならなかったのでしょう。

少し冷静に考えると、よく言われる日本社会の生きづらさ、みたいなのはこういう「ちゃんとしないといけない範囲の広さ」が原因であることも多いのでしょう。適度に色んな人の力を借りていくこともとても大事なことです。

この辺り、なかなか難しいのですが、自分の価値観が全てではない事に気づき、その上でどんな方針でいくかを改めて考えることが重要なのだと思っています。

僕は一周考えて、やっぱり「先生、ありがとう」ではなかなか気がすまないので、ちゃんと家で切っていくように気をつけようと思います。

一方、こんなことを考える時に、いつも感じることがひとつあります。それは、我が家のようにわかりやすく2つの文化が混じる時に、子どもたちが窮屈になってしまわないか、ということです。

今回は、ある意味日本の方が「きつめ」の話でしたが、中国の方が何もかも「ゆるい」のか、というと決してそんなことはないのです。

それぞれの価値観の中では、ある種の制約を求める場面が必ずあります。2つの価値観のきつい方が両方適用されると、あれもこれもダメということが多くなって、何をしてもダメと言われるという感覚に子どもがなってしまわないか、心配したりします。逆に何やってもいいと勘違いしてしまうことも怖い。

子どもが自分で選び取れるようになるのはいつだろうとか、それまではどうすべきなんだろうとか、あまり答えのないことを考えます。

でも、これって実は国際結婚じゃなくても本当は一緒なのでしょうね。日本人同士で結婚したとしても、価値観が同じ人なんていないわけで。

教育関係の記事などではよくダブルスタンダードが子どもを惑わせる、という趣旨の話を見かけます。お母さんが良いって言ったのに、お父さんはダメという。どっちなの?というような混乱を与えるべきではない、と。

子どもが生まれる前は、その通り!としか思いませんでしたが、果たしてそうなのでしょうか。保育園もおじいちゃんおばあちゃんも、みんな違う価値観を持っています。ものすごい混乱は良くないと思いますが、なんというか、色んなことを色んな人が言っている環境はとても自然で、重要な気がします。

その中で、適度に無視できる能力というか、折り合いをつけていく力が育まれてほしいな、と思います。自分自身を照らしてみても、身に付いているか甚だ疑問ではありますが。。

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