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児童小説「モモ」を通して感じた、気持ちの余裕と想像の余地の大切さ

こんにちは。スタッフの津村です。 皆さん、「モモ」(ミヒャエル・エンデ作)というファンタジー小説をご存知でしょうか? 好きな本、影響を受けた本として挙げる方が多く、「この本が私のバイブルです」とまで言う方もいて、一体どんなお話なんだろう、とずっと気になっていたのですが、先日ようやく読むことができました。
●あらすじ 時間貯蓄銀行の"灰色の人たち"がどんどん人間から時間を奪っていこうとする(いかに日常の時間に無駄があるかを説き、節約するように洗脳していく)中で、モモという不思議な力を持った小さな女の子が、その組織と戦い、人間の時間を取り返すといった物語。
●豊かさを感じられる心の余裕 さて、読んだ感想ですが、「何でこの本を今まで読んでこなかったんだ!もっと早く(できれば子どもの時)に出会いたかった!」と後悔するくらい衝撃を受けました。 「モモ」はドイツで1973年に出版された本ですが、驚くことに古さを全く感じさせません!今の時代にぴったり当てはまる普遍的な物語だと思いました。特に私が印象に残ったのは以下の言葉です。

「時間とはすなわち生活なのです。そして生活とは、人間の心の中にあるものなのです。人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそって、なくなってしまうのです」 「もしその心が時間を感じとらないようなときには、その時間はないもおなじだ」(文中より)
この言葉、まるで私に向かって言われているようで胸に刺さりました。 「時間を節約すればするほど、生活はやせほそって、なくなってしまう」とはまさに言い得て妙で、私はどこかいつも時間に追われているような気持ちで日々を過ごしていました。 毎日のやるべきことをあれをやって、これをやって・・・とこなすようにして過ごすうち、気付けば時間だけがいつの間にか過ぎ去っているという時間感覚です。 「忙しい」の「忙」という漢字は、「心を表す立心偏」に「亡くす」と書きますが、忙しい、それはつまり心を亡くしているような状態だと言えるのかもしれません。 忙しさは心から余裕を奪います。いかに無駄を省いていくか、ということを突き詰めると、心はどんどん貧しくなっていくように思います。 とは言え、時間が有限であることも真実で、効率よくこなすことも大事なのですが、そればかりにとらわれたり、過度に求めたりするのは良くない、ということではないかと思います。 人間が生活する、その心の中にこそある時間なのに、その心が豊かでなくてどうするのか。いくら時間を節約できたとしてもそれは空しいことです。 車のハンドルに「遊び」の部分が必ずあるように、やはりどこかで豊かさを感じられるだけの+α(プラスアルファ)の余裕を持つということが大切なんだと思います。 ●子どもがじぶんで空想を働かせる余地
この余裕というもの、実はおもちゃにとっても大切なことです。「モモ」の中にこんな一節があります。
「とりわけこまることは、こういうもの(電気で動くおもちゃを指す)はこまかなところまでいたれりつくせりに完成されているため、子どもがじぶんで空想を働かせる余地がまったくないことです。ですから子どもたちはなん時間もじっとすわったきり、ガタガタ、ギーギー、ブンブンとせわしなく動きまわるおもちゃのとりこになって、それでいてほんとうはたいくつして、ながめてばかりいます――けれど頭のほうはからっぽで、ちっとも働いてないのです」(文中より)
ここで「子どもがじぶんで空想を働かせる余地」という言葉が出てきますが、これこそおもちゃの持つ余裕ということだと思います。つみきやが取り扱っているおもちゃはデザインも機能も材質もシンプルなものが多いですが、それはこの言葉の通り、子どもが自分で創造するための「余地」を残し、それを大事にしているからです。 遊びを生み出すヒントは与えるけれど、あとは子ども自身の創造力で自由に遊びを発見してもらいたい。そんな願いを込めた「余地」です。 私は子どもの創造力というのは計り知れないものがあると信じていますし、特にまだ小さいうちはできれば想像の余地を残したおもちゃで遊んでほしいと思っているので、「モモ」を読んだ時に、改めてその気持ちが強くなりました。 どんなことでも、気持ちの余裕、想像の余地といった、余白の部分というか、詰め込み過ぎないということが肝心なんだと思います。 この本をバイブルにする人の気持ちがよく分かりました。ご興味あります方はぜひお読みください。 文章 津村修二(つみきやスタッフ)

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