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スタッフ間勉強会「スギとブナの比較」

こんにちは、原田圭悟です。先週から勉強会ということで、割とテーマを自由にスタッフ間で議論や情報共有をする場を設けています。

前回は「木のおもちゃが良い理由」について、一般的にはどのように認識されているか調べました。情緒的な理由はもちろん、木の香りにリラックスさせる効果がある可能性について調べた方がいることを知ったり、面白い発見がありました。

個人的には、科学的に「良い悪い」が判断できるほど、この分野での学問的な知見が十分に蓄積されている状況ではないと考えています。したがって、「良い悪い」の判断より、「好き嫌い」の好みの部分を基本的にお伝えしていくつもりです。

一方で、保育の現場で「木のおもちゃの方が選ばれる」「木のおもちゃの方が長く集中して遊ぶ」というお話はよく聞きます。この辺りには、科学的にはまだ実証されていない何かしらの事実が含まれているような気がします。(もしかしたら、そのような研究をしている方もいらっしゃるかもしれませんが)

さて、木のおもちゃについて話をする中で、今回は、面白い論文を発見しました。広島大学の木村先生という方の研究です。木のおもちゃが良いとはよく言われるけど、木のおもちゃに最適な樹種とか加工方法はあまり研究されていないのではないか、という問題意識のもとスギ、ヒノキ、ヒバ、ブナ、比較としてプラスチック製の積み木を比較してみたそうです。

現在、世間に多く出回っている積み木は色々な樹種のものがありますが、ブナが最も一般的です。一方花粉で悩む方が多いように、日本の森林の多くはスギ、ヒノキです。

スギ、ヒノキはブナに比べ、密度が低く、柔らかいのが特徴です。逆にブナは密度が高く、スギ、ヒノキより結構重いです。

この論文で面白かったことの一つに「重さ」の違いを数値で再確認したことがありました。同じ45mm角のサイコロ型の積み木をスギとブナで比較されていて、その差はなんとほぼ倍です。スギはだいたい32gくらい、ブナは66gくらいだったようです。

個体差もあるし、乾燥度合いも状況によって変わりますが、こんなにも重さが違ったのですね。

他にもこの論文では、親御さんが「子どもに与えたい積木は?」「親自身の満足度の高い積木は?」と質問していて共にスギが1位、ブナはプラスチックと共に最下位を争うという結果が出ていました。

これは非常に興味深いところです。現実にはほとんどの積木はブナが使用されていて、スギのものはありません。

・スギは加工しにくい可能性(柔らかさが欠けを発生しやすい)

・軽すぎて積む時のズレが発生しやすい、または崩れやすい可能性

・単に商品化されていない可能性(製造コストが高い可能性)

なぜスギの積み木が一般的でないか、と考えると色々な可能性がありますが、このテーマも一筋縄ではいかない多くの問題があります。

ブナの多くはドイツを中心としたヨーロッパから輸入されていて、森林大国の日本ですから、本来であれば、身近にある木を利用できたらという思いはオーナーである父ともよく話をします。

スギのおもちゃとしての利用可能性を考えるとき、現在遊びとして認識されている「積み木」の概念とは少し違う「軽さ」「柔らかさ」を前提に新たな遊びの提案をする必要があるのではないか、と感じているこの頃です。

 

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